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NaDiR活動報告 尾池和夫客員教授 活断層についてメモを寄稿しました

尾池和夫客員教授 活断層について以下のメモを寄稿しました。

大地震や静岡大学などがある有度山は隆起速度の速い山である。この麓にある活断層は、産業技術総合研究所のデータベースにも登録されているが、あまり一般に知られていないように思う。静岡大学に在籍していた林愛明たちの調査結果では、活断層と入れるものが存在する。グルーバル地域センターとしても、このような認識を持っていることが必要であり、また広くこのことを伝えることも必要と考える。

上市ほか(2003)によると、丘陵の頂部には日本平と呼ばれる平坦面が発達している。日本平は約一〇万年前に古安倍川からもたらされたファンデルタ堆積物の堆積面であり、現在その高さは海抜三〇〇メートル以上に達している。すなわち、有度丘陵は、過去一〇万年間に隆起した丘陵であり、その隆起速度は一年当たり三ミリメートル以上に達する(近藤, 1985)。一方、丘陵の北西側山麓部にも小鹿面・国吉田面と呼ばれ扇形の形態を呈する平坦面が北西側に数度傾斜して連続的に分布している。これらの地形面もまた古安倍川のファンデルタ堆積物の堆積面であるとされ(土, 1969, 土, 1960近藤, 1985)。それが現在北西側へ傾斜していることから、有度丘陵がドーム状変形を伴う傾動地塊であると考えられてきた、活断層研究会(1980, 1991)では、本丘陵を活傾動として認定・記載されている。

筆者らが名づけた「有度活断層帯」は南東~東傾斜の逆断層帯としてとらえることができると考えられる。

論文の結論として次の重要な指摘がある。

最新活動時期は六〇〇〇年前以降である可能性が高い。有度活断層帯の第四紀後期における活動度は、縦ずれ成分で一年当たり〇・一~〇・二ミリメートルとなり、B級の活動度を有している。

 

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